左から、ワンデイワーク代表取締役社長の飯島芳之氏、Wakrak代表取締役の谷口怜央氏

デイワークアプリの「ワクラク」を運営するWakrakは10月25日、三越伊勢丹ホールディングスの子会社ワンデイワークと協業し、同じくデイワークアプリである「ワンデイワーク」を開発、11月1日よりサービス提供を開始することを発表した。

ワクラクは「1日単位のワーク探し」「面接なしで雇用契約締結」「給与振込申請」が行えるデイワークサービスだ。ワンデイワークは三越伊勢丹ホールディングスが10月に100%子会社として設立した。

TechCrunch JapanではWakrak代表取締役の谷口怜央氏、ならびにワンデイワーク代表取締役社長の飯島芳之氏に、新サービス、そして協業の狙いについて話を聞いた。

ワンデイワークの狙いは百貨店、小売業にける慢性的な人手不足の解消

ワンデイワークいわく、百貨店や小売業は慢性的な人手不足に悩まされている。代表取締役社長の飯島氏によると、アパレルの販売員は結婚や出産を機に、30歳くらいで職場から離れるケースが多い。

現場では派遣社員やパートタイム従業員の活用だけでは人手不足問題を解消できなくなってきたが、もう一方で、百貨店や小売業のOGやOBの多くはより「柔軟な条件」で勤務することを前提に「再度同じ職場で働きたい」と考えていた。「働きたい意欲を持つ方の力を十分に活用しきれていないという課題があった」と飯島氏は言う。

だが、家庭の事情や育児、家族の介護などを理由に退職してしまった従業員が、再び単日や短時間で働き始めたいと思っても、最適な仕事を見つけるのが難しいという状況が顕在化していた。飯島氏いわく、従業員が復帰する際には「週5勤務」を求められるケースが多く、そのような条件は多くの人たちにとって厳しい。そこで飯島氏が目をつけたのが、「デイワーク」だ。

ワンデイワークでは、単日や短時間で働きたい人をより柔軟に人材確保を行いたい雇用主を繋ぐ。求人検索(求職者募集)、申し込み、契約書締結、給与の受け取り(支払い)などの手続きがアプリ上で完結する。まずは関東近郊で三越伊勢丹が運営する百貨店の店舗や事業所を中心にワンデイワークを導入し、販売経験をもつOGやOBなど「眠っている労働力」を活用する。その後は他の商業施設や小売り業態にも拡大していく予定だ。11月中にはAndroid版ならびにiPhone版のアプリも提供開始される。

飯島氏いわく販売員の約7割が女性。そのため、「家庭の事情や育児、家族の介護などを理由に退職してしまった」女性がワンデイワークのメインターゲットだと思われる。同サービスでは2020年度中に約1万ユーザーの稼働を目指す。

ワンデイワークとの協業、Wakrakの狙いは

Wakrakもデイワークアプリ「ワクラク」を運営しているが、同社にとってワンデイワークとの協業にはどのようなメリットがあるのだろうか。

Wakrak代表取締役の谷口氏は「僕たちには入っていけない業界もある」と話す。だが、ワンデイワークは三越伊勢丹ホールディングス子会社社のため、「百貨店名の力」がある。そのため、「Wakrakがリーチできないエリアへのアプローチをしていただける」(谷口氏)、というのが協業に至った一番の理由だ。

「僕たちにはWakrakというサービスを広めていくというミッションがある一方、デイワークという働き方も普及させていかなければならない。協業という形で他企業と連携し、対応できる業界を広げていきたい」(谷口氏)。

Wakrakは現在、飲食業界を中心に、物流、小売、アパレル、エンタメ、農業、オフィスワークなど、様々な業界の課題を解決している。そして前述の通り、今後はワンデイワークに続く「協業企業」を募集していくことで、業界の幅を広げていく。谷口氏いわく「ユーザーとユーザーのリアルタイムのマッチングはあったものの、法人とユーザーをリアルタイムで繋げるものは今までになかった」ため、デイワークアプリの立ち上げには参入障壁がある。だが、「僕たちにはそれなりの知見があるため、ゼロイチで作るよりも、僕たちが入り込むほうが初期の立ち上げはしやすいのではないか」と加えた。

また、谷口氏いわく、Wakrakの強みは「どのような人に仕事を表示するのか、またはしないのか」などといった、法人とユーザーを繋げるアルゴリズムの部分。「企業は『安くて優れた人材』が欲しいと考えているが、価格(安さ)で勝負をしてしまっても仕方がない。そのため、どれくらい相性の良い人をお送りできるかというところを技術的な強みとして持っていたい」(谷口氏)。

谷口氏は以前の取材で、資格やスキルが必要となる業界でのワクラクの活用、専門性が必要となる仕事でもワクラクを通して求職できることを目指すと説明し、以下のように述べていた。

「A社で自分が築き上げた価値や役職は、B社に移った瞬間にまた1から積み上げなければならない。だが、アプリやサービスの中に自分の評価が溜まっていくならば、どこで働こうが関係がない。ブルーカラーだけではなくてホワイトカラーも、ありとあらゆる仕事をこのサービスを通して行える、かつ、やりたくないことをやめられる。そのような世界観を僕たちは持っている」(谷口氏)。

そして本日Wakrakとの協業を明かしたワンデイワークの飯島氏も同様に考えている。販売職から培われる専門性の高いスキルは他業種でも活かせるのではないか、という考えだ。

「我々のワンデイワークも含めて、谷口氏が考える『デイワーク』というフィールドに一度戻ってきていただくと、その人の将来がより広がるようにしていきたい、と考えている。我々の販売というフィールドだけではなく、(ワンデイワークのユーザーが)ワクラクが扱っているような案件に繋がっていくように、将来的にはしていきたい」(飯島氏)。

Source: AI
百貨店の“人手不足”や“職場復帰”の課題を解決するデイワークアプリ「ワンデイワーク」、Wakrakと三越伊勢丹HDが共同開発